アスタチンのα線で直接がん細胞を攻撃

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同じアルファ線でがん細胞をやっつける方法にBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)があります。国立がん研究所センターが始めようとしているBNCTは、体の深い部分にあるがんには適用できませんが、量子科学技術研究開発機構が開発したこの方法なら、深部のがんにも適用可能でしょう。

BNCTは患者に直接中性子線を浴びせるのですが、こちらは中性子線を浴びせてできたアスタチン(211At)を体内に入れるので、患者の被ばく線量も格段に少なくなります。

2001年頃から研究されて論文もいくつか出ているようです。やっと実用化のめどが立ったとのことです。

がん細胞に直接放射線を照射 新薬開発 世界初
6月13日 17時12分
がん細胞に直接届いて、そこだけに放射線を照射する新たな薬を、日本の研究グループが世界で初めて開発し、マウスで実験した結果、がん細胞を大幅に縮小させることに成功しました。手術を必要とせず副作用もない次世代のがんの治療法につながる成果として注目されています。
新たな薬を開発したのは、放射線の技術を医療などに応用するために、ことし4月に発足した国の研究機関「量子科学技術研究開発機構」のグループです。グループでは、加速器と呼ばれる大型の装置で、ビスマスという金属にヘリウムを衝突させ、放射線が及ぶ距離が0.1ミリと短い「アルファ線」を出す、「アスタチン」という物質を作りました。
そして、「アスタチン」に、がん細胞に集まる性質がある物質を組み合わせることで、がん細胞に直接届いて、半径0.1ミリの範囲だけに放射線を照射する新たな薬を世界で初めて開発しました。
グループでは、新たな薬の効果をマウスで実験したところ、2週間後、薬を投与しなかったマウスではがん細胞が3倍に拡大したのに対して、薬を投与したマウスでは、がん細胞が半分にまで縮小したということです。
がんの放射線治療では、がん細胞の周辺にある正常な細胞まで痛めて副作用を起こすことが課題になっていますが、この薬では、それを解決できると期待され、グループでは、7年以内の人への応用を目指しています。
量子科学技術研究開発機構のグループの東達也部長は「手術を必要とせず、患者への負担が少ない次世代のがんの治療法の確立に向けて、大きな一歩だ」と話しています。

量子科学技術研究開発機構のプレスリリースにより詳しく紹介されています。

  • 211At(アスタチン、半減期:7.2時間、平均エネルギー:6.79 MeV、α線飛程:55-70μm)は、他のα線核種と違ってハロゲン元素であるため、安定な共有結合で医薬分子に導入できる。
  • 100%α線放出であり、γ線放出過程を含まないので、他の核種よりも安全に取り扱える。
  • 壊変途中の211PoからのX線を利用すればイメージングにも応用でき、体内動態を詳細に追える。

いいことばかりですね。

ただ、問題は211Atの半減期が7.2時間と短いことです。加速器のあるところは限られているので、製造してから遠方の患者のところまで運んでいる間に減衰してしまいます。48時間後にはα線の放射が1/100になってしまう。逆に半減期がもっと長いと、いつまでも患者の体内でα線を出し続けるから、正常な細胞まで殺してしまうので、これもよろしくない。適当な長さの半減期としてアスタチンが選ばれたようです。


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がん研究センターが計画している病院設置型の直線加速器との組み合わせなら実用になるかもしれない。でも、早くて7年後! がんばって欲しいね。

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