オプジーボのはかない夢

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マスコミが「夢の新薬」ともてはやしてきた免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボなど)の否定的なニュースが早速出てきました。

抗がん剤に耐性の付いた再発進行性小細胞肺がんで、生存期間中央値9.4ヶ月に対して、オプジーボの12.2ヶ月という数字でした。

しかし、未治療の患者群では、必ずしもうまく行かないことが8月5日にブリストルマイヤーズスクイブ社から発表され、会社の株価が一挙に18%も下落するという事態が発生しました。

541人の未治療の手術不能肺がん患者さんに対して、従来の抗がん剤と比較した試験を行い、「ニボルマブ(オプジーボ)は細胞毒と比較して、PFS(無憎悪生存期間)の延長はみられなかった」とブリストルマイヤーズのCEOから発表されたのです。

「理論的には効くはず」の患者群に対して効果が実証できませんでした。

この薬でたちどころにがんが消えてしまうわけではなく、わずかの延命効果があるというだけのことです。けっして「夢の新薬」などではありません。それも今回の発表で怪しくなってきました。

薬のチェック」で浜六郎氏は既にこのことを警告しています。

マブ剤は、日本では 2001 年に販売が開始されたリツキシマブを皮切りに、抗癌剤、抗リウマチ剤などとして臨床応用されている。重症の関節リウマチでは、過剰な腫瘍壊死因子(TNF-α)やインターロイキン-6 などサイトカインによる炎症をモノクローナル抗体が和らげる。しかし、異物監視機能としてのサイトカインの働きをも弱めてしまうために、結核や敗血症など感染症が悪化するとともに、癌も増える。

2015年に非小細胞肺癌への使用が承認されたニボルマブは、癌細胞を攻撃するTリンパ球(キラー T 細胞)の重要なタンパク(PD-1)のモノクローナル抗体である。これがPD-1 に結合することで、その働きを保護し、癌細胞を攻撃する力を失ったキラーT 細胞の癌細胞攻撃能力を取り戻す、とされる。この働きだけなら、なるほど、夢の新薬となりえよう。

機序に関するメーカーの動画は、こうした説明に終始している。そして、「世界初の新しい免疫療法」「命を助ける待望の新薬」「がん患者の生存期間を延長させる」等々、人々に誤解を与え、戸惑わせる文言がインターネットやメディアでは飛び交う。医療者自身も同様に、患者へ説明している。

しかし、PD-1 に結合してキラーT細胞の活動を抑制するPD-L1は、抗原提示細胞(APC)など免疫細胞にも発現する。癌の抑制よりも、正常の免疫細胞の機能を抑制し、癌を逆に進行させ、感染症悪化、自己免疫疾患発症につながりうることが、毒性・臨床試験、市販後の害反応報告で明らかである。

マブ剤も、ニブ剤も、決して、夢の新薬ではない。寿命短縮の危険因子はすでにかなり判明している。本質的な利点と欠点、利益と害を正確にとらえる必要がある。

免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1の発現状態によっては、返って寿命を短縮することもある。そこまで検査して投与しているのでしょうか。


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