エビデンスだけでがん治療ができるのか?(3)

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「有効性と安全性の確認された標準治療」とよく言われます。しごくあたりまえのことのようですが、がん治療に関してはちょっと首をかしげたくなります。

安全性を確認する第一相試験は、一般的な医薬品ならボランティアの若い健常者を対象に行うのですが、抗がん剤の場合は、がん患者だけが対象になります。「危険」な劇薬だからです。どれほど危険なのか。

下の図はFOLFIRINOXとゲムシタビンを比較した生存率曲線です。対象となる患者は切除不能膵がんで身体状況が良いPS0,1の患者です。末期の患者を対象にしているわけではないのに、抗がん剤の投与を初めて3ヶ月で10%近くの患者が亡くなっています。抗がん剤による副作用死に違いないでしょう。

放っておいてもどうせ亡くなるがん患者だから、早死にする患者が一部にいても、全体として生きている時間が少し長くなるから、まっ良いか。ということなのでしょう。

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「有効性」はどうでしょうか。生存期間中央値でゲムシタビンの6.8ヶ月に対してFOLFIRINOXでは11.1ヶ月。4ヶ月あまりの延命効果があると示されています。たくさんの患者さんの平均値であり、しかも腫瘍が消えて治るわけではありません。

生きている時間が僅かに延びるかもしれませんよ、というだけのことで、がん患者が期待するような、3年、5年は元気で生きていたい。あわよくば治りたいというレベルからは遠いところにあります。地獄のような副作用にたえてもこの程度の「有効性」でしかありません。

「有効性と安全性の確認された標準治療」と医者に言われば、何となく「治るかもしれない」と期待してしまいそうですが、美辞麗句で飾っても患者の求めるレベルではありません。

低用量抗がん剤治療に対して「確たるエビデンス(科学的な根拠)がない」「臨床試験が行なわれていない」との批判があります。しかし、臨床試験を行なうには多大な費用が必要です。『代替医療解剖』(単行本では『代替医療のトリック』)には米国の例として、

  • 第一相試験:1000万ドル(10.5億円)
  • 第二相試験:2000万ドル(21億円)
  • 第三相試験:4500万ドル(47億円)

必要だとされています。製薬企業の援助でもない限り不可能です。抗がん剤を少なく使うための治験に、製薬企業が金を出すはずもありません。大学の医学部が、役にもたたない博士号取得のための試験などせずに、臨床実験に労力を割けば良さそうなものです。


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