プレシジョン・メディシンとは?

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「もう効く抗がん剤はありません」と言われてもまだ諦めるのは早いです。

最近の遺伝子解析技術が進歩し、遺伝子情報に基づいた個別化治療の研究も進んでいます。遺伝子を解析することで、抗がん剤が効きやすいかどうかが事前に分かるようになってきました。米国ではこのように遺伝子情報に基づいた個別化治療をPrecision medicine(高精度医療)と呼び、オバマ大統領がこの治療を国として推進していくというメッセージを出しています。

がん患者を特定の患者集団として分類し、その集団ごとの治療法と予防についても対応していくものです。個別化医療ほどには費用がかからないといわれています。

京都大学医学部付属病院におけるプレシジョン・メディシンでは、膵がんで、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の原因遺伝子であるBRCA2遺伝子に変異が見つかった人については、BRCA2遺伝子変異のあるがんに効くとされるプラチナ系の抗がん剤オキサリプラチンとS-1を投与したところ、肝転移が消え、病状が安定している方がいます。

プレシジョン・メディシン⑥ 京都大学医学部附属病院などで進む「オンコプライム」を用いた遺伝子診断・治療とは

SCRUM-Japan

日本でも、2015年2月から、全国200以上の医療機関と15の製薬会社が参加し、臨床試験の大規模プロジェクト「遺伝子スクリーニングネットワーク SCRUM-Japan(スクラム・ジャパン)」が行われています(実施期間は、2017年3月までの予定だったが、4月に新たに製薬会社1社が加わり、2年の延長が決定)。

SCRUM-Japanは、2013年に開始した希少肺がんの遺伝子スクリーニングネットワーク「LC-SCRUM-Japan」と、翌14年に開始した大腸がんの遺伝子スクリーニングネットワーク「GI-SCREEN」が統合してできた、日本初の産学連携全国がんゲノムスクリーニングプロジェクトです。

SCRUM-Japanについて

SCRUM-Japanには2つのプロジェクト、LC-SCRUM-JapanとGI-SCREENがあります。LCは肺、GIは消化器です。膵臓がん患者はGI-SCREENプロジェクトが対象となります。

これらのプロジェクトでは、

  • 遺伝子検査には数十万円から100万円ほどの費用がかかるが、このプロジェクトで患者負担の費用はない
  • 治療につながる遺伝子異常が見つかる割合は50%ほど。
  • さらに適応外の薬も含めて薬事承認されている薬がある割合は30%
  • 適応となる治験が走っているとは限らない
  • 幸運にして治験が走っていても参加する条件は厳しい
  • 結局、新しい薬を投与できる患者は全体の5~10%程度

と思われます。

SCRUM-Japanへの、患者さんの参加方法はこちらです。

遺伝子検査の結果、例えばFGFR遺伝子に異常が見つかったとしたら、「関連試験」のページで治験の実施施設などの情報が得られます。

自由診療

SCRUM-Japanは臨床試験なので費用は企業が負担しますが、参加条件が限られています。自由診療で、網羅的ながん遺伝子検査を実施している医療機関があります。

遺伝子検査費用も多額ですが、検査結果を受けておこなう治療も「混合診療」となるため全て自由診療扱いとなり、健康保険は使えません。タイミングよく臨床研究や治験に参加できなければ、自由診療扱いとなります。


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使えるがん保険

がん保険の中には、先進医療や自由診療も含め、実際にかかった費用を補償する「実損てん補タイプ」の商品があります。このタイプの代表格がセコム損保のがん保険「メディコム」とSBI損保の「がん治療費用保険」です。これらに加入していれば費用を補填できるかもしれません。

TOP-GEAR(トップギア)プロジェクト

国立がん研究センター中央病院が進める「TOP-GEARプロジェクト」とは

TOP-GEARプロジェクトは、次世代シークエンサー(NGS)を用いた臨床研究です。NGSを用いたクリニカルシーケンスを全国に普及させるための、ロールモデルを作るのが目的です。
検査会社のシスメックス社と共同開発した「NCCオンコパネル」を用いて、114種類の遺伝子異常の有無を院内で解析します。対象は固形がんで、担当医がNGSを使った遺伝子検査が有益と判断した1歳以上の患者さんです。

多くの遺伝子を一度に解析する遺伝子検査である「クリニカルシークエンス」を普及させるためには、ニーズや有益性、必要な人材や設備の把握、どこに課題があるかを抽出するのがプロジェクトの大きな目的です。必ずしも患者の治療を優先的に考えているわけではないのです。

対象は、国立がん研究センター中央病院に来院でき、がん薬物療法ができる状態の患者さんに限定されます。別の病院で治療をしている場合は、担当医に相談して国立がん研究センター中央病院に紹介状を書いてもらい、受診するという流れになります。

研究費で運営しているので、遺伝子解析を受けるための費用については患者の自己負担はありません。それに伴う担当医の診察や血液検査、がんの治療は基本的には保険診療です。しかし、遺伝子解析をして結果を出たところで、見つかった遺伝子異常にぴったり合う薬がまだまだ少ないことです。その遺伝子異常を対象にした薬が見つかったとしても、多くは、まだ有効性や安全性が確定していない開発段階にある治験薬です。

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