低用量抗がん剤治療とは

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低用量抗がん剤治療

がん休眠療法、メトロノミック療法、低用量抗がん剤治療と、さまざまな呼称がありますが、ガイドラインに記載された標準の抗がん剤使用量よりも少ない量での治療法です。

がん治療のガイドラインでは、患者の体表面積に応じて使う抗がん剤の量が決められていますが、患者の年齢や状態に応じて概ね60%までの減薬が認められています。しかし、低用量抗がん剤治療では10~20%程度まで減薬することがあります。

副作用が強く標準治療が継続できない場合や、高齢のため抗がん剤治療を勧められなかった患者、辛い副作用よりもQOL(生活の質)を重視した生き方をしたい方、「もう治療はありません。あとは緩和医療ですね」と言われた患者でも治療を続けられるとされています。

エビデンスがない

低用量抗がん剤治療では、必ずしも腫瘍の縮小を追い求めるのではなく、がんと共存して“現状維持”ができれば良いと考えます。また、副作用の我慢できる量で投与するので、患者の生活の質も得られます。
この“現状維持”という概念は、現代の分子標的治療薬の効果判定に利用されていますから、理にかなった治療法であるとも言えます。

しかし、標準治療を重視する立場からは「低用量抗がん剤治療にはエビデンスがないではないか」と批判されています。

進行食道がんに対して、標準治療と低用量抗がん剤治療を比較したJCOG0303という臨床試験では、シスプラチン(70mg/㎡、4週ごと)と5FU(700mg/㎡、4日間4週ごと)の標準量と、低用量シスプラチン(4mg/㎡、5日間投与1週ごと)に低用量5FU(200mg/㎡、5日間持続投与1週ごと)を使ったケースを比較しています。その結果は、第二相試験の段階で、標準投与量群と低用量群で副作用が変わらず、当初の目標は達せられなかったとして、試験が中止となっています。

当初の試験目的が、副作用の低減と治療効果の増大をめざして行われたので、副作用が変わらないとして中止されたのですが、見方を変えれば、標準治療よりも劣っているわけではないことが分かったとも受け取ることができます。

低用量抗がん剤治療を行っている医師たちからは、

  • 低用量群の患者に一律の量を投与しており、患者の状態に応じて投与量を変えるという本来の低用量抗がん剤治療ではない
  • 患者ごとに投与量を変える治療法であるから、ランダム化比較試験になじまない
  • 低用量でも効果を認める患者が一定数あり、再現性もある
  • 医療の現場においては、エビデンスのない治療法はたくさんある。セカンドラインの(標準的)抗がん剤治療にはほとんどエビデンスがない

との反論があります。

こうした現状であるにもかかわらず、がん患者からは一定の支持がある治療法です。

参考資料など

高橋豊医師

がん休眠療法の提唱者。国際医療福祉大学市川病院腫瘍内科で休眠療法を実施。

梅澤充医師

大塚北口診療所勤務。ブログ:『現在のがん治療の功罪~抗がん剤治療と免疫治療

三好立医師

銀座並木通りクリニック院長。ブログ:「あとは緩和と言われたら

がん休眠療法(メトロノミック療法・少量(低用量)抗がん剤治療)

休眠療法を行っているその他の医療機関

  • サンタマリア病院(大阪府茨木市)
  • セントマーガレット病院
  • 山口赤十字病院
  • 市立岸和田市民病院

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