抗がん剤による心血管毒性

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欧米では抗がん剤といえば分子標的薬が主流です。日本は30年遅れていると言われてきましたが、徐々に分子標的薬が増えてきている。

5年生存率も高くなり、がん患者にとっては朗報だが、副作用が少ないといわれた分子標的薬だが、心不全や高血圧、血栓症といった多様な心血管毒性が指摘されている。また、その副作用は、治療後20~30年たっても残存するという。

今年10月には日本腫瘍循環器学会も発足し、がん患者とサバイバーをがん治療に伴う心血管疾患から守るために、がん診療科と循環器内科の連携が動き始めた。

例えば、トラスツズマブ(ハーセプチン)はヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)を過剰発現する乳がんと進行・再発胃がんに広く使われているが、HER2は心筋細胞にも発現しているので、その阻害により心機能障害がでることがある。

代表的な分子標的薬の心血管毒性

分類 一般名 商品名 主な心血管毒性
HER2阻害薬 トラツスズマブ ハーセプチン 左室機能障害・うっ血性心不全
アラパチニブ タイケルブ
血管新生阻害薬 ベバシズマブ アバスチン 高血圧・動静脈血栓塞栓症・心筋症
ソラフェニブ ネクサバール
免疫チェックポイント阻害薬 ニボルマブ オプジーボ 心筋炎

 

分子標的薬の使用経験が短いので、心血管毒性に対するリスク因子や早期診断、予後予測に有用なマーカーなどが確立していない。最近注目されているオプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬は、さらに情報が不足している。

がんサバイバーの心不全リスクは11倍にもなるというから、がんと共存できた、完治したとしても、生涯にわたって心血管イベントへの注意を忘れることはできない。


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