進歩の著しい膵臓がんの治療法ー腹膜播種に「腹腔内化学療法」

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がんの王様-膵臓がん

全てのがんの中でも、最も生存率の悪い膵臓がんですが、最近はその進歩も著しくなっています。

膵臓がんは、発見されたときには既に手術ができない場合が多く、手術ができたとしても転移や再発率の高いがんです。手術だけで完治するのは稀な例になります。

  • 膵臓がんの手術は大手術となるので、術後の合併症が起こりやすい。一番多い「膵液の量出」を防ぐために縫合方法を見直し、「Blumgart変法吻合」などが開発されている
  • 膵頭十二指腸切除術では胃を全摘していたが、胃が正常に働かず、食事が十分に取れなくなったり、食事が胃の出口で詰まってしまったりする合併症が措きやすい。切除範囲を極力抑えることで回復が早くなる
  • 激しい下痢や体重減少を引き起こす神経叢郭清は行わないか小範囲にする。
    上腸間膜動脈に巻きついている神経には腸の働きを調節する役割があるため、少しでも傷ついたり、切除されてしまえば腸をコントロールできなくなり、食べた途端、下痢になってしまいます。
    手術後に食事ができなくなれば、回復もそれだけ難しくなります。この合併症により10〜20kg体重が落ちてしまう患者さんもおり、このような事態に陥ると、術後治療を受けることが難しくなります
  • 「術前治療」-膵臓がんは手術を行う前に化学治療や放射線治療をしっかり行うと、手術後に再発しにくくなることが明らかになってきています。下のグラフは名古屋大学消化器外科の例です。
  • 門脈などの大きな血管にがんが浸潤していたり、がんの範囲が大きいと「切除可能境界」とされています。この場合は、手術前に化学療法や放射線療法を行ったほうが術後のがんの経過が明らかによくなります。「術前化学放射線療法」
  • 「フォルフィリノックス」と「ナブパクリタキセル」という2種類の新しい抗がん剤の登場により、膵臓がんの術前治療に大きな進歩が起こりました。

膵臓がん治療における「腹腔内化学療法」の可能性

膵臓がん治療における「腹腔内化学療法」はテスト段階で、日本全国の実施件数も33例と少ないものですが、すでにその成績には目を見張るものがあります。

33例のうち、半数の患者さんは浮遊しているがん細胞が消失し、3分の1の患者さんは腫瘍マーカー(血液検査時にがんの有無を示す数値)が正常値に戻りました。さらに驚くべきことは「腹腔内化学療法」の効果が腹膜播種の消滅だけでなく、その大元である膵臓がんにも現れ、膵臓にできた腫瘍が小さくなって手術を行えるまでになった件数が33件中8件、つまり4分の1の患者さんは手術ができるまでに病状が改善しました。

しかし、効果があるとされている「パクリタキセル」という抗がん剤が、膵臓がんに対して保険適用の認可が下りていないため、この治療が行える施設が限られている。(現在東京大学付属病院で臨床試験が進んでいる)


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参考としたサイト

膵臓がん手術の常識を見直す−転移や合併症から膵臓がん患者を守る

膵臓がんは手術だけでは根治しない−さまざまな種類の治療を組み合わせた最先端の膵臓がん治療方法

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