『このまま死んでる場合じゃない』

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先の「がん撲滅サミット」にも登壇した放射線医学総合研究所(放医研)病院の医長、岡田直美医師とSmile Girlsの善本考香さんの対談本です。すごい女医さんもいるのですね。

エビデンス至上主義では、再発・転移したがんは治せない。抗がん剤でがんを治せないのは、治せるように使っていないだけだ。エビデンス至上主義の考え方ゆえに、標準治療こそが、エビデンスに基づいた最善の治療と思っている医師も大勢います。

と、一部の腫瘍内科医らの「エビデンス史上主義」を堂々と批判します。

しかし、多くの再発・転移したがん患者を、標準治療で使われる抗がん剤や重粒子線を含む放射線治療、ラジオ波焼却、動注塞栓治療などさまざまな治療法を駆使して”治して”いる実績があります。

がんが再発したり、転移していると、多くのお医者さんがあきらめてしまいます。これが現代医学の常識です。でも本当は、現在の医学なら十分治すことができるのです。

がんの治療には、がんができた臓器とその進行度ごとに治療が決められている「標準治療」というものがあります。今は、この標準治療でがん治療をすることが常識で、それ以上のことをやろうとすると、とたんに異端児扱いされてしまいます。

この岡田医師のもとで、子宮頸がんの多発転移が治った善本考香さんの治療歴がまたすさまじい。

①子宮頸がんと診断され手術、②傍大動脈リンパ節に再発。抗がん剤と放射線治療で、傍大動脈のがんはなくなったけど、今度は、③両側の縦隔と肺門と左鎖骨上窩に再々発。東京に出て、岡田先生と出会う。

調べてみたら、肺転移も見つかる。そこで、全身抗がん剤治療をおこない、肺のがんが消えました。次に、動注塞栓で左鎖骨上窩のがんが消えて、両側の縦隔・肺門リンパ節の手術。そして、その後の精密検査の結果、④左の縦隔、左鎖骨上窩に再びがんが現れ、肝臓、腸骨リンパ節に新たながんが見つかる。

再々々々発?

手術後に残った4ヵ所のがんは、肝臓、腸骨リンパ節、左鎖骨上窩リンパ節、左縦隔リンパ節。⑤肝臓と腸骨リンパ節は動注塞栓で消え、⑥左鎖骨上窩と左縦隔のリンパ節は重粒子線で退治できた。がんとの闘いは7ヵ月で、がんの残存はゼロ。最終の治療となった重粒子線治療から約3年経っていますが、残存ゼロのままです。

どうしてこのような治療にチャレンジできるのか? そのカラクリは「オリゴメタ(少数転移)説」にあると言う。正確には「オリゴメタスタシス(oligometastasis)」。

標準治療によるがん治療では「転移が1ヵ所でもあったら全身に無数に転移している」という〝全身転移説〟をとっています。だから遠隔転移、肝臓や肺に一ヶ所でも転移があれば手術はできない、後は抗がん剤治療で延命を図るだけです。しかし抗がん剤はやがて耐性ができて使えなくなる。すべての抗がん剤に耐性ができたら、「あとは緩和」治療を勧められる。

今のがん治療は、あきらめが早すぎるように思います。だって転移が1ヵ所でも10ヵ所でもⅣ期の診断ということで「もう手の施しようがありません。延命治療です」となってしまいます。
1ヵ所だったら、先ほどの「オリゴメタ(少数転移)」の病態である可能性も高く、あきらめてしまうのはもったいないです。

「オリゴメタ説」は、HellmanとWeichselbaumが提唱したもので、「腫瘍が全身に広がっている」場合とは異なり、「限局した部位でかつ数が少ない」病態が存在するというものです。つまり、一ヶ所でも転移があると全身に転移 しているという「全身転移説」も、少数転移しているだけという「オリゴメタ説」も、どちらも仮説なのです。しかし、現在の標準治療では「全身転移説」を前提としている。だから治せるのに、治すように抗がん剤を使えないのです。

再発しても、あちらこちらに転移しても、治る可能性は十分にあります。私はこれまで「治らない」と言われてしまった、さまざまな種類のがん患者さんを治してきました。その中には、肺に18ヵ所も転移していた大腸がんや、腹膜播種、つまりお腹の腹膜にまで転移してしまった胃がん・大腸がん、同様に胸膜播種の肺がん、進行した膵臓がんなど、重度の患者さんも多く含まれます。

と言う岡田医師は、抗がん剤の使い方も標準にはこだわらない。低用量抗がん剤治療的な使い方もする。

抗がん剤などの薬剤は、濃度依存性と時間依存性という効き方があります。濃度依存性というのは、薬剤が濃ければ濃いほどよく効くということ。時間依存性というのは長い時間、その薬剤が病巣に接触していればいるほどよく効くということです。

シスプラチンは濃度依存性かつ時間依存性の薬剤です。シスプラチンは一度に入れても何回かに分割しても大差なく、分割したほうが効果があるという論文もある。それなら少量ずつ入れたほうが、副作用をコントロールしやすい分、いいですからね。

エビデンス至上主義にも批判的です。動注療法を例に、

動注が静脈投与と違いがないと言う論文も怪しいものです。なぜ怪しいかというと、動注をやったこともない医師が論文を集めて書いていることも多く、動注療法を行う医師のレベルがどれくらいかについては担保されていないのです。根拠となった論文は欧米の結果を反映していますが、この手の細かい技術が必要な治療法は日本人のほうが上手です。動注は手術と同じように、上手な医師と下手な医師では結果が大きく変わってきます。


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標準治療という治療マニュアルのような治療法に傾倒している医師は、二言目にはエビデンスと言います。動注なら動注の論文をたくさん集めて、統計解析した論文。これをメタアナリシスと言いますが、これが、もっともエビデンスレベルが高い、信頼度が高いものとされています。論文の筆者が動注をしたことがあろうとなかろうと関係ないのです。一見客観性はあるように見えますが、机上の空論というか、何か腑に落ちないのです。

と言っています。

いくらすばらしい治療症例を紹介しても「それは単なるケースレポートでしょう」「エビデンスというにしては弱い」と一蹴されてしまいます。治った患者さんのすべてについて分析し結果を論文にしても、それは後向き試験(過去のデータをまとめたもの)で、客観性に乏しいと、高く評価されることはありません。ランダム化比較試験でなければエビデンスでないと頑なに考えているのです。

〝個人〟がどんなにたくさんの患者さんを治したとしても、治療をしたことがない「論文屋さん」に勝つことは不可能なのです。

力のある企業が開発した薬や医療機器は、お金の力で大規模な臨床試験をおこなえるので、膨大なエビデンスを集めることができ、保険適用され、さらには標準治療へと格上げされます。一方、小さな製薬会社からすばらしい薬が開発されても、大規模な臨床試験をおこなうお金も時間もないため、なかなか広まってくれません。エビデンス=証拠を集めて、客観的に評価を集める、と、いかにも平等に聞こえますが、証拠を集める時点で、経済格差が生じていて、不平等であることがじつに多いのです。

エビデンス至上主義=EBM原理主義者は、グローバル製薬企業の世界戦略に取りこまれ、その片棒を担いでいる側面が顕著になってきた、と思えるのです。

しかし、エビデンスに囚われなければ、治せる患者はたくさんいる。一ヶ所でも再発・転移があれば、治療法は抗がん剤しかないというエビデンスやガイドラインは、負けることが分かった治療法です。

エビデンスレベルが高い治療というのは、囲碁や将棋でいうところの定石、つまり最善手というだけのものです。しかし、その最善手で負けることがわかっていたら、定石にこだわるでしょうか。

再発・転移して「あとは緩和ですね」と言われた患者としてはどうすべきか? 善本さんが自分の体験から、具体的な提案をしています。

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