癌とストレス(1)

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キラーストレス

  • ストレスの正体や悪影響をおよぼすメカニズムが科学的に詳細に解明されはじめた
  • ストレスによって、心不全や脳梗塞などが引き起こされるケースがあります。
  • それだけではなく、ときにはがんが進行したり、無害なはずの細菌が体内で重病を引き起こす原因になったりすることも明らかになりました。ストレスが要因で、想像を絶するさまざまな出来事が、私たちの体の中で起こっているんです!

結局ストレスによっていろいろな病気になるということは、心が体に大きな影響を与えているということにほかならないのです。

2016年6月に放映された、NHKスペシャル シリーズ『キラーストレス』では、ストレスとがんの関係が取り上げられていました。(オンデマンドでは見られるのですが、番組の内容を本として出版しています)。放送内容を元にして、ストレスと癌の話を進めます。

闘争か逃走反応

1929年にウォルター・B・キャノンによって初めて提唱された「闘争か逃走反応」。太古の狩猟時代の人類が猛獣などの敵と遭遇したときに、「闘うべきか、逃げるべきか」を判断し備えるためにからだはそれにふさわしい準備をします。

恐怖や不安などのストレスを受けると脳の下部にある扁桃体が活性化し、

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それが、副腎に指令を出してストレスホルモンであるコルチゾールを放出させます。コルチゾールは心臓の心拍数を上げ、自律神経を興奮されます。

こうして、筋肉や心臓に大量の血液を供給して、生き残るための事態に備えようとします。「目の前の生きるか死ぬか」の問題に直面したとき、免疫系などの当面不必要な活動は抑制されるのです。

狩猟時代にライオンなどに遭遇することはめったに起きないので、一時的に免疫系を抑制し、心拍数を上げても問題は起きません。しかし、現代の社会においては、常にストレスに曝されて「闘争か逃走反応」が持続的に続いています。

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免疫系を抑制し、生存率が悪くなる

がんの告知を受けた患者は、さらに大きなストレスに曝されます。免疫系の活動が弱体化して、がん細胞の増殖がより早くなるのです。

またストレスホルモンは、免疫細胞のATF3遺伝子を活性化させて、免疫細胞ががん細胞を攻撃することを抑制するのです。このためにストレスがあるとがん細胞が増殖しやすくなり、再発・転移につながるのです。

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乳がん患者でATF3遺伝子が活性化している患者と、活性化していない患者の1年生存率を比較すると、前者では45%に対して後者では85%と大きな差があります。ストレスががん患者の生存率に大きく影響しているのかが分かります。

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NHKの番組では最新の研究を紹介しながら、キラーストレスがわたしたちの体に大きな影響を与えていることを解明しています。

ストレスを軽減し、再発や転移を防ぐために効果的なことは、

  • 運動(30分程度を週に3回)
  • マインドフルネス、瞑想などのメディテーション

が必要です。

次回に紹介します。

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