癌とストレス(2)

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ストレスはがんの転移を起こしやすくする

ストレスホルモンは、リンパ系に悪影響を及ぼすことによって、がんの転移を促進することがマウスの研究で明らかになっています。

ストレスのあることが、がん患者の死亡率が上昇することと関連し、かなり進行した段階の動物のがんとも関連していることを示す証拠がある。また、これまでの研究では、ストレスホルモンが、がんの転移にとって重要な血管新生に影響を及ぼすことが報告されている。また、リンパ系は、がんの転移も促進するが、そのことがストレスの影響を受けるのかどうかはこれまでよく分かっていなかった。

今回、Erica Sloanたちは、マウスを使った研究で、リンパ系がストレスホルモンの悪影響を受け、その結果、がん細胞の転移が起こることを明らかにした。今回の研究では、5匹以上のマウスを対象としたいくつかの実験を行い、腫瘍を排出するリンパ管がストレスによって数が増え、直径が大きくなることを明らかにした。Sloanたちは、特殊な顕微鏡を用いて、蛍光標識されたナノ粒子がリンパ系を流れる量がストレスホルモンによって増加することを実証した。また、Sloanたちは、ストレスを感知するタンパク質またはリンパ管の形成を増進するタンパク質の活性を阻害することで、マウスにおけるがんの転移を減らすことにも成功した。

今回のマウスでの研究結果は、がん細胞の転移を抑制する上で、このストレス経路を標的とする方法が有用となる可能性を示唆している。

まだ小規模なマウスレベルの実験ですが、ヒトのがんでもストレスが再発や転移と深く関わっていることを示唆しています。

再発や転移の可能性を小さくするには、サプリメントや食餌療法に頼るのではなく、ストレスを低減するための手法、マインドフルネスや瞑想、サイモントン療法、ヨガなどの中から、自分に合ったメディテーションを取り入れることです。

瞑想は「今この瞬間」、がんであろうがなかろうが、「今ここに」ある命を大切に生きることを認識させてくれます。

マインドフルネス瞑想とは

さて、このキラーストレスに対処するための「科学的」な方法とは?

ストレスによる体の不調が起こっても「根性でなんとかしよう!」とするのではなく、科学的メカニズムにのっとったストレス解消法を実践すれば、脳の構造をガラリと変えることができます。そしてストレスから心身を守ることができるのです。それが「マインドフルネス瞑想」です。

簡単に言うと、マインドフルネスとは「”今ここ”にただ集中している心のあり方」のこと。

そんなマインドフルネスでよく用いられるのが瞑想です。瞑想というのは古くから禅やヨガなどで行われていたものですが、マインドフルネス瞑想はそこから怪しげな精神性や宗教的な要素を取り除いたもので、誰でも気軽にできるのところにも大きな特徴があります。

マインドフルネス瞑想と言ってもあまり難しく考えることはありません。やることはとても簡単で誰でもすぐに実践できるのがその特徴ですから気軽にやりましょう。基本的には、姿勢を正して、ただ自分のしている「呼吸」に意識を向けるだけです。

私たちの脳は、デフォルトモード・ネットワークの状態にあります。これは車で言えばアイドリングに相当する状態です。しかし、これが強いと常に過去のことや未来のことばかりに意識が集中して、今現在のことが疎かになります。マインドフルネスの提唱者 ジョン・カバットジンはこれを「自動操縦状態」と言っています。

あのときに検査をしておけば・・・、とか、今の抗がん剤が効かなくなったら・・・、余命はどれくらいだろうか・・・とか、ほとんど過去と未来のことばかりを考えている状態が多いのではないでしょうか。

マインドフルネスは、そうした雑念に「気づき」、今ここにある自分に意識を集中することができるようにします。

マインドフルネス瞑想によって脳の働き方が変化を受けることが確認されています。それだけではなくて、マインドフルネスによってエピジェネティックに遺伝子の発現も変えられることが明らかになりつつあるのです。

マインドフルネスの8週間プログラムを実践すると、記憶をつかさどる海馬の一部が増加し、

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ストレスホルモン・コルチゾールを放出する指令を出す扁桃体は縮小していた。

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マインドフルネスと脳

マインドフルネスを短時間行なっただけで、脳のdlPFC(前頭前皮質背外側部)といわれる部分が活性化します。dlPFCは脳のなかのさらに司令塔ともいわれる部分です。

デフォルトモード・ネットワークが脳のなかでさまざまな雑念を生み出すのですが、dlPFCが働くことによって、うまくコントロールされ、雑念が生じにくくなるのです。

さらに、マインドフルネスによって脳のなかで記憶を司っているといわれる海馬の灰白質が大きくなり、

扁桃体は小さくなります。ストレスが多い人やうつ病に人は、扁桃体が大きく、海馬が萎縮している場合が多いのですが、マインドフルネスは、扁桃体を小さくして海馬を大きくさせることで、ストレスから早く回復できるようになります。

さらに、病気やストレスに関係しているといわれるRIPK2遺伝子の活性化を抑えることも実証されています。


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RIPK2は炎症に関係する遺伝子で、肥満やがんになると体のなかでは炎症反応が続いており、またがん細胞は炎症反応を利用して増殖することが知られています。

マインドフルネスは炎症に関係する遺伝子にまで影響を与えることができる、つまり、「心の有り様によって遺伝子も変る」ことが科学的にも分かってきたのです。

炎症とがんとの関係を長年にわたって研究してきた三重大学教授の三木誓雄氏は、

「がんの組織がIL6とともにIL6受容体をも高発現していることに注目してきた。その結果、 IL6が中心となってがん悪液質が発生、しかもがん組織自ら産生したIL6を自ら受容して増殖する患者にとっては大変迷惑な循環現象が起こっていると捉えるようになった。」「食べても、食べても痩せる」という悪液質の特徴の背景には炎症がある

と三木氏はいう。がんに由来する炎症マーカー(CRP)値上昇は がんが発見される何年も前から続くことになり、結果的に大きなダメージを患者の身体に与えている。

マインドフルネス瞑想法の効果は、免疫システムの正常化、炎症の減少などが証明されています。2ヶ月間の瞑想だけで、免疫システムがインフルエンザ・ワクチンに強く反応するようになり、白血球はNK細胞も含めて正常になり、がんとより強く戦えるようになったのです。

参考図書・CD

私が実際に買ってみて気に入ったものから紹介しておきます。

  1. マインドフルネスストレス低減法マインドフルネスを基礎から理解したいー理論派:何はともあれジョン・カバットジンの『マインドフルネスストレス低減法』でしょう。8週間の基本的プログラムのやり方も詳しく書かれています。しかし、内容が濃くて読みこなせないという方もいるでしょうね。CDは付属していません。
  2. ともかくすぐに始めたいー短気な方:そういう方には、「マインドフルネスストレス低減法」を自宅で実践するためのCD4枚組の『4枚組のCDで実践する マインドフルネス瞑想ガイド』がお勧めです。テキストはマインドフルネスの入門書としても良い。
  3. どんなものなのか、一度試してみたいー慎重派:本は安くて薄いほどよいという方にも、日本人の書いたものでCDも付属しているこちらがお勧めです『~1日10分で自分を浄化する方法~マインドフルネス瞑想入門』。著者の吉田昌生氏の低い声と落ち着いた語りが心地よい。
  4. 仕事にも活かしたいー欲張りの方:には、『グーグルのマインドフルネス革命―グーグル社員5万人の「10人に1人」が実践する最先端のプラクティス(付録:マインドフルネス実践ガイドCD)』はいかがでしょうか。

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