見直されるか、丸山ワクチンの臨床試験


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丸山ワクチン 知ってますか?

1960年代に大きな話題になった「丸山ワクチン」。今のがん患者では知らない方も多いのですが、現在でも「有償治験薬」として一部のがん患者が使っています。

「ただの水」との酷評がある一方で、「丸山ワクチンとがんを考える会」「丸山ワクチン 患者・家族の会」の活動を通じて、効果があったという情報も公開されています。

丸山ワクチンは、日本医科大学皮膚科教授だった丸山千里博士が開発したがん免疫療法剤です。今免疫療法が話題ですが、丸山ワクチンも一種の免疫療法剤です。1944年、丸山博士によって皮膚結核の治療のために開発され、その後、肺結核、ハンセン病の治療にも用いられた。
1976年11月に、ゼリア新薬工業から厚生省に「抗悪性腫瘍剤」としての承認申請を行うが、1981年8月に厚生省が不承認とした。ただし、「引き続き研究継続をする」とし、異例の有償治験薬として患者に供給することを認め、現在に至る。

当時は、テレビで丸山ワクチンの特集が放送されると、日本医科大病院の電話が一晩中鳴りっぱなしになるほどの反響でした。ワクチンの希望者は1日700人以上にも達し、病院の廊下が患者やその家族で埋まったのです。

丸山ワクチンを巡る経過

同時期に承認されたクレスチン、ピシバニールに比べて、丸山ワクチンの承認過程が「不公平」だとの批判もあります。丸山ワクチンと同時期にスピード申請されたこの二つの新薬は、8年後には効果が見直されて、単独使用での有効性は否定されたのです。

詳細はWikipediaの「丸山ワクチン」の項に譲るとして、クレスチンは2018年3月で製造中止になります。

第094回国会社会労働委員会において、村山達雄厚生大臣は丸山ワクチンに縮小効果が見られなかったので延命効果判定を導入したと答弁しています。

現在抗がん剤は延命効果が亡ければ承認されませんが、当時は腫瘍縮小効果だけでも承認されたのでした。丸山ワクチンが、延命効果で薬効を決めるきっかけを作ったとも言えます。

1月9日に放映された、日本テレビ「ザ!世界仰天ニュース 国が認めない丸山ワクチンの謎」では、丸山ワクチンの歴史が要領よくまとめられていました。

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新たな臨床試験データに騒然

2014年4月に、埼玉医科大学国際医療センター教授(婦人科腫瘍科)の藤原恵一氏が、ひとつの治験データを報告して「騒然」となります。

NEWSポストセブン|がん免疫療法の元祖「丸山ワクチン」新たな臨床データで騒然│
「NEWS ポストセブン」は小学館が発行する「週刊ポスト」「女性セブン」「SAPIO」「マネーポスト」4誌を統合したニュースサイトです。各誌の最新記事・コラム等をネット用に再編集し、掲載するほか他のニュースサイトにも配信します。

放射線治療を受ける国内の子宮頸がんの患者さん249人に、丸山ワクチンと同じ成分の薬(試験薬剤コード名はZ―100)を併用投与して、プラセボ(偽薬)との比較試験を行ったところ、Z―100を投与した患者さんの5年生存率が使わない患者さんより10%も上回っていたことが分かりました。これは他の抗がん剤や分子標的薬ではほとんどあり得ない数字です。

実はZ―100の濃度を3段階に分けて、有効性を比較する臨床試験も行ったのですが、なんと高用量のほうが生存率が悪いという結果になってしまったんです。つまり、丸山ワクチンをたくさん使用すると毒になるのではないかと、一時騒然となりました。でも、よくよく掘り下げてみると、高用量の生存率は従来の放射線治療のみの生存率と同じで、低用量を用いることで子宮頸がんの予後が良くなっているという驚くべき現象であることが分かったのです」(藤原氏) これら画期的な臨床結果は、昨年ASCO(米国臨床腫瘍学会年次集会)でも報告されたが、残念ながら患者の子宮頸がんの進行度にばらつきがあるなどして、「統計学的には意味のある差とはいえない結果になってしまいました」(藤原氏)という。

1992年、子宮頚がんIII期の患者を対象に調べたところ、丸山ワクチンの濃度を40µgの最大にした注射液が、腫瘍縮小率に優れていた。そこで40µg液を使った場合の患者の生存率を二重盲検法で調べることになり、濃度を極めて薄くした丸山ワクチンB液(濃度0.2µg)を使った。その結果は、5年生存率において、丸山ワクチン40µg液は41.5%でプラセボ代わりの0.2µg液(B液)を使った患者は58.2%。その差が逆転した。

次におこなった250人程度を対象としたB液での臨床試験を実施した。放射線療法+丸山ワクチンB液と、放射線療法+プラセボの二重盲検試験である。これで5年生存率を調べたところ、前者が75.7%、後者が65.8%という数字が出た。

ただし、臨床試験の期間において医療機関に放射線化学療法が導入されて患者の予後が予想以上に良くなったこと、病期II期の患者数が想定していたよりも多かったことなどから、統計学的には有意差を認めるに至らなかった。対象者のなかのⅢ期の患者だけの分析では有意だったが、数が少なく、信頼性がないとされた。

丸山ワクチンの新しい臨床試験

この試験に関わった埼玉医科大学の藤原恵一医師らは、2013年6月のASCO(米国臨床腫瘍学会)においてこれらの試験データを公表し、もう一度この結果を検証するため現在臨床試験を行っている。

その臨床試験のデータはこちらに登録されています。

「子宮頸癌治療のためのZ-100プラス放射線療法の無作為比較試験」
Randomized Study of Z-100 Plus Radiation Therapy to Treat Cervical Cancer

「Z-100」が低濃度の丸山ワクチンの一般名称です。ステージⅢBの子宮頸がんにおけるアジア共同治験で、ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験が第3相試験までいっています。その結果次第では丸山ワクチンの見直しがされるかもしれません。

不幸な経過を辿った丸山ワクチンですが、この試験の結果が注目されます。

今でも健康保険で使える丸山ワクチン

丸山ワクチンを10倍に濃縮した薬剤に「アンサー20(アンサー皮下注20μg)」という薬剤があります。成分はZ-100原液ですから、5年生存率が使わない患者さんより10%も上回っていたという藤原恵一氏らが行った臨床試験と同じものと考えて良いでしょう。

この薬剤は「放射線治療時の白血球の減少」に対してだけ、健康保険で使用が認められています。重粒子線・陽子線治療施設で使われている例もあるようです。1アンプルの薬価が3,000円ほどですから、患者負担は1,000円ほどです。全額自費で賄ったとしても週1回なら月に12,000円ほどです。

放射線治療を行っている患者は、主治医に相談してもよろしいですね。

丸山ワクチンはどこで受けられるのか

「有償治験薬」という性格上、日本医科大学付属病院ワクチン療法研究施設でワクチンを購入し、地元の医院で投与してもらう流れになります。

詳しくは「丸山ワクチン・オフィシャルサイト」に記載されています。

<以下オフィシャルサイトより抜粋>

●丸山ワクチンの治療を受けるまでの流れ
(1)治験を医師に依頼する
(2)必要書類の用意
(3)ワクチン療法研究施設へ

(1)治験を医師に依頼する
第一に、丸山ワクチンによる「治験」を引き受けていただけるよう、医師にご相談ください。その医師が治験担当医師となります。患者さんの病状を最もよく把握している主治医にお願いするのがよいでしょう。
ただし、週3回注射に通わなければなりませんので、ご近所にかかりつけの医師(ホームドクター)がいればその医師に相談する方が便利な場合もあります。診療施設の指定はありませんので、主治医のほかに週3回の通院が可能な病院・診療所でご相談ください。

(2)必要書類の用意
治験担当医師が決まりましたら、治験承諾書(丸山ワクチンによる治験を 引き受けるという治験担当医師の承諾書)とSSM治験登録書(現在までの治療経過をまとめた書類)への記入をお願いしてください。これらの書類は当研究施設に用意してあります。下記の「関係書類一覧」からダウンロードできますので、ご利用ください。

お急ぎのときは、とりあえず、書式は問いませんので、担当医師に「紹介状の形式で『丸山ワクチンの治験を引き受けること』と現在までの治療経過(概略でも可)とを書いてください」とご依頼ください。その書類で代用できます。
この場合は、再診時に当方所定の書類をご提出(郵送可)いただきます。
関連書類一覧→

(3)ワクチン療法研究施設へ
必要書類が入手できましたら、初回は、治験担当医師に代わってご家族か身内の方にワクチン療法研究施設へ来院していただきます(予約の必要はありません)。
診療はありませんので、患者さんご本人がいらっしゃる必要はありません。

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