光免疫療法は、免疫療法の一種なのか?

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読賣のこの記事「光当て『がん治療』治験、3月にも開始」で、『このまま死んでる場合じゃない』の岡田直美先生も期待を寄せています。

がん治療に詳しい放射線医学総合研究所病院の岡田直美・腹部腫瘍臨床研究チーム医長の話「どんな細胞でも、膜に穴を開ければ殺せるという発想は画期的で、効果や安全性も期待できる治療法だ」

なぜ『免疫』なのか?

光免疫療法は「免疫」でがん細胞を直接攻撃するわけではありません。

下のNIHの動画でも、免疫と関係がありそうには見えません。

光免疫療法は、がん細胞に集まる抗体にIR700という色素を結合させて、患者の静脈に点滴によって注入します。

抗体ががん細胞の表面にある抗原に集まったところで、5~6分くらい近赤外線を照射すると、IR700が発熱され化学反応によって収縮します。その物理的作用によって細胞膜に無理な力がかかり、多数の小さな穴が開きます。その穴から周囲の水が細胞内に入り、内部の圧力が高くなって細胞が破裂するのです。

正常細胞にはダメージを与えず、がん細胞を速やかに死滅させることができるといわれています。

抗体と抗原が結びつくことによって抗体抗原反応(免疫反応)が起きますが、光免疫療法では抗体抗原反応(免疫反応)はがん細胞の破壊には関わっていません。オプジーボなどの免疫チェックポイント阻害薬や、NK細胞療法などの免疫細胞療法とは、その仕組みが根本的に違います。 鍵は「免疫原性細胞死」(免疫を誘導する細胞死)と呼ばれる細胞の死に方にあります。

免疫原性細胞死とは?

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小林久隆氏が「ナノ・ダイナマイト」と命名したIR700付抗体に近赤外線を照射すると、がん細胞はさまざまな内容物を噴出しながら壊れます。 (ここまでは上の動画でも説明されています)

すると、近くにいる免疫の司令塔と言われる「樹状細胞」に、「がん細胞が死んだ」というシグナルが届いて、眠っていた樹状細胞が目ざめます。目ざめた樹状細胞は、受け取ったシグナルを使って、がん細胞を攻撃するリンパ球の一つであるT細胞にがん細胞の見分け方を教育します。しっかりと教育を受けたT細胞は分裂を始め、残ったがん細胞に対しても攻撃を始めます。こうして免疫の仕組みが働き始めるのです。  これが「免疫原性細胞死」です。

光免疫療法の優れている点は、腫瘍の周囲にある免疫細胞を殺さないことです。抗がん剤はがん細胞や正常細胞を見境なく攻撃しますし、免疫細胞も壊されます。放射線治療では通常50~70ラドの線量を照射しますが、免疫細胞はその20分の1の放射線量で破壊されるのです。ピンポイントの放射線でも影響をゼロにすることはできません。

しかし、光免疫療法では周囲の免疫細胞は完全に残っているので、がん細胞がなくなると猛烈な勢いで活動を初めて、数日のうちに組織を正常な状態に戻します。

遠隔転移したがん細胞も免疫の力で攻撃する

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まだマウスレベルの研究ですが、光をあてた場所のがんだけではなく、遠隔転移したがんも消えてしまうことも確認されています。

がん細胞は、免疫系の攻撃からわが身を守るために、がん組織の周囲に制御性T細胞を取りこんでいます。本来、制御性T細胞は過剰な免疫応答を制御するブレーキ役であり、免疫の恒常性に必要なものですが、がん細胞はこれを利用して免疫系から身を守るための「門番役」としているのです。

制御性T細胞の表面にあるCD25抗原とくっつく抗体をIR700に結合して静脈注射し、がんのある場所に近赤外線を照射したところ、照射した付近のがん細胞だけではなく、マウスの全身のがんが消えました。


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近赤外線を照射した数時間後には、制御性T細胞が壊されて、がん細胞の「門番役」がいなくなり、制御性T細胞が押さえ込んでいたT細胞とNK細胞が目覚めて、がん細胞への攻撃を始めたのです。

こうした仕組みによって、転移したがん細胞も免疫の力で消失させることができるのです。

こうした実験の結果を受けて、小林久隆氏は「がん光『免疫』療法」と命名したのです。

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